徒然なるままに垂れ流します。
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アニメなら、これで一話分は稼ぎたいところ(ほぼリアルタイムだな)。
ゲタ箱って、今はゲタ箱って言わないんですかね? シューズボックス……?
黒髪の美形が好きなのは私です。
昨今の日本の若者はどいつもこいつも髪を染めるので非常にいただけません。
いつもなら、「これは要らないかなー」と思って省く描写をちょっと入れてみようと思って書いてたのですが、着替えが終わった辺りで書くのに飽きたのは内緒です。
(途中、おもくそダレてますねー……)
風が吹くたびに、さわさわと梢が音を鳴らす。
それに合わせて揺れる木漏れ日が、朝露がきらきらと光る下草の茂る緑の地面に、綺麗に模様を描いていく。
響く鳥の歌声に、遠くに聞こえるのはせせらぎだろうか。
足もとに咲く薄黄色の小さな花はとても可愛らしく、見ていると心が和んできそうな気がする。
視界をひらひらと白い蝶が舞って、横切った。
何がおかしいって。
何がおかしいのか、とっさに一つも挙げられないくらいに全てがおかしいのだ。
見渡す限り、大人が二、三人でようやく囲めるような大木が並び、果てが見えない。
軽く目眩を覚え、たたらを踏んで、いつの間にか取り落としていた学校指定の合皮の鞄を踏んづけた。
――ねえ、今くぐった玄関は?
* * *
さあ、運命は産声を上げた。
世界は君を待っている!!
* * *
何かおかしな夢を見たような気がする他は、いつもと変わらない朝だった。
五分毎にスヌーズ設定した目覚まし代わりの携帯電話のアラームは、三度目で止める。
最初は、繰り返し鳴るメロディーを聴きながらいぎたなく布団にしがみ付いていたのが、今ではもう、一度目、二度目に鳴る音には気付きもしなくなってしまった。
未練がましく、アラームを止めるために開いた携帯電話の待ち受け画面に表示される時間を睨みながら、渚はのろのろと布団から這い出た。
半分寝たままの状態で、雑に布団をたたんで部屋の隅に寄せる。
ゆるく編んでいた髪をほどき、やはりのそっとした動作で制服に着替える。
幅の狭いプリーツのスカートは、薄めのベージュと薄茶色がメインのタータン。
白いブラウスの上に、薄すぎて全く防寒の役目を果たさない、襟ぐりと袖にラインが入ったオフホワイトのV字セーターを重ね、セーターのラインと同じ焦げ茶色の幅広のリボンを結ぶ。
見た目が明るくて気に入ってはいるのだが、実際に着るとなると少々困る。
淡色系は汚れが目立つのだ。
着替え終わり、髪ゴムを手首にかけ、宿題の為に持ち帰った古語辞典でずっしりと重い鞄を持って、渚は階下へ向かった。
階段は、玄関を入ってすぐ。
ゲタ箱に鞄を立てかけて置き、朝食を取るべくダイニングへ向かった。
すりガラスがはめ込まれたドアを開き、明るい朝の光が差し込むリビング・ダイニングへ入る。
新聞を読みながらコーヒーを飲む父と、ぼーっとTVを見ながらチーズをのせたトーストにかぶりつく兄に、おはよーと声をかけながら、白地に薄いグレーでシンプルな木の葉模様がプリントされた自分のマグカップを食器棚から出した。
ウォールナットのテーブルの自席には、カリカリに焼いたベーコンと目玉焼きが既に並べてある。
席につき、卓上に出されていた牛乳をカップに注いでいると、母がオーブントースーターからこんがり焼けた食パンを出してくれる。
それに軽くバターを塗り、ベーコンと目玉焼きを乗せた。
こうして食べるのが、渚の最近のお気に入りなのだ。
ずり落ちそうになる目玉焼きを落とさないように気をつけ、パンをかじっていく。
天気予報を流すTVを見ながら急いで朝食を済ませ、食器を流しへ運んで、取り合いになる前に洗面所へと急ぐ。
歯を磨いていると、食事を終えた兄が洗面所にやって来た。
場所を空けると、兄は水で濡らした歯ブラシに歯磨き粉をつけて後ろにさがった。
ガシガシと歯を磨く音を背後に、手早く洗顔をすませ、髪を梳いて手首にかけていたゴムで一つに束ねる。
歯を磨き終わったらしい兄が、歯ブラシをくわえたままモゴモゴと――おそらく、早くどけ、とか何とか――言うので、櫛を定位置に置いてさっさと場を後にした。
スカートのポケットに入れっぱなしにしている軽く色のついたリップクリームを塗りながら、再びダイニングへ。
テーブルの上に用意された、大判のハンカチで包まれた弁当箱とお茶を淹れたペットボトルを取り、
「いってきますー」
と、かけた声に返された、「行ってらっしゃい」という言葉を背に、玄関へと向かう。
通りすがりにちらっと見たTVに表示された時刻からすると、今日はいつもよりも少し余裕がありそうだ。
途中でコンビニに寄ってガムでも買っていこうかな、と時間を計算しながら、小さな角型のバッグにお弁当箱とペットボトルを入れる。
鞄の中身を最終チェックし、忘れ物がないのを確認して、下駄箱の上の小皿に置かれたいくつもの鍵――自転車やバイク、車のキーである――から、自分の愛自転車の鍵を取った。
万が一落とした時に気付くようにと付けた鈴が、ちりんちりんと可愛らしく鳴る。
ワンポイントに校章が刺繍された白いハイソックスを引き上げ、学校指定の黒のローファーに足を突っ込む。
玄関のドアノブに手をかけ、家の中に向かって再び 「いってきまーす」と叫ぶ。
ちょうど、自分の部屋へ着替えに戻るべく出てきた兄が、ひら、と投げやりに手を振るのを視界の隅に勢いよく開けたドアをくぐった瞬間、何かに押されたような衝撃を背中に受ける。
こけないようにと踏み出した足が、ドアの前に敷き詰められているはずの石のタイルとは明らかに違う、柔らかな感触を踏み付けて、そして――
* * *
起床からここに至るまでの出来事をつらつらと思い出し、嫌々ながらも認めなくてはならないらしい現実を悟る。
ああ、これはつまり、そういうこと?
さようなら 世界! はじめまして 異世界!
(出でよ、親切な黒髪美形!! とか、思って現実逃避するくらい許して!)
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