忍者ブログ

できれば月記

徒然なるままに垂れ流します。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

それは、もう戻れない日々の、まるで奇跡のような存在だった。

2004/10/26にアップ。
以下、当時書いたコメント。

書きかけで放置されてた夢。
勿体無いので載せときます。

続きをどうするつもりだったのかどころか、相手が誰だったのかすら思い出せない……。
和風っぽいヤツらしいのは確か。
心当たりがありすぎる。

何で襖なんだろう。
縁側っつったら障子だろうに。


 それは、もう、戻れない日々の。

 まるで、
 奇跡のような、存在だった。


 ふと目が合う度に、静かに、とても柔らかに微笑う。
 その姿が、荒んだ現実の中で、唯一と言っても良いくらいに穏やかだった。
 触れたいと想っても、この、血に塗れた両手では、触れてはいけない気がして、躊躇ってばかりいた。

 * * *

 目が覚めると、何故か部屋の襖が開け放たれていた。
 射し込む陽射しに舌打ちをする。
 こうも明るくては、二度寝など出来そうもない。
 襖を開けて行った奴が分かったら、とりあえず一発殴っておこうと心に決めた。

 すぐ前の縁側を、洗い終えた洗濯物の山を抱えてフラフラと進む姿を、身を起こしながらぼんやりと、寝起き直後の動きの鈍い頭で眺める。
 綾瀬の癖のない長い黒髪が、風に吹かれて滑らかに肩から落ちた。
 その風に乗って、この場所には似つかわしくない、微かな花の香りが漂う。
 少し前に、アレが土産だとやっていた香水が、今の彼女の気に入りらしい。
 勿体無いと言いながら、機嫌の良い日につけては、いい香りだと笑っている。

「おい」

 目にかかる鬱陶しい前髪をかきあげながら、声をかけた。
 俺が起きていたのに気付いていなかったのか、一瞬、庭の方を向いてから、慌ててこちらを向きなおす。

「おはようございます。今日も良い天気ですよ」
「そうかよ」

 いつものように穏やかに微笑うのを視界の端に、昨日脱ぎ散らかしたままの筈の着物を探した。

PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

TRACKBACK

Trackback URL:

カレンダー

02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

ついったーってやつ

▲▽▲▽▲



プロフィール

Copyright ©  -- できれば月記 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]