徒然なるままに垂れ流します。
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ふと、外に出てみたら、東の空にとても大きくてキレイな虹がかかっていた。
スッと弧を描く七色は、優しくいだいて包み込んでくれる、かいなのようだった。
わたしはそれがとてもいとしくて、なぜだかきゅうに泣きたくなった。
ていうか泣いた。
そしたら急にあいたくなって、小石を、草をけちらしながら、あなたを探して走り回った。
虹を見たよ、キレイだったよ、まるでやさしいあなたみたいで、わけわかんないけど泣いちゃったよ。
そんなことを話したら、あなたはそれはそれはやさしくおだやかにうつくしく微笑みかけてくれるはずだったのに。
どれだけさがしても、あなたは何処にもいなかった。
虹のかいな
"破砕せよ"
血を吐く様に。
"破砕せよ、破戒せよ、破却せよ"
喉の奥から搾り出された声が告げる。
その響きは、酷く哀しい、 まるで嘆きの歌だった。
あの平穏で幸福な日々に共に在った人達は、その骨を埋めた場所すら遠い時間の彼方、記憶はもはや夢現の幻と変わらない。
"我が天の下に地は巡る。同胞(はらから)に光は凝り、まつろわぬ者は闇に堕ちる"
そんな朧な思いの中で、ただあなただけが鮮明に残っていた。
それはきっと、思い出の中で美化された都合の良いカタチでしかなくなっているだろう事など分かりきってはいたが。
"盟約と誓約により告げる"
世界へと干渉を始める魔力に吹かれ、細い絹糸のような髪がなびく。
その夜闇の様な黒は、あの頃のまま変わっていない。
あの頃、わたしは幸福だった。
今までもこれからも、これ以上などないほどに、わたしはとてもしあわせだった。
ずっとそうだと、信じて疑いもしなかった。
あなたが居なければそんなもの、何一つ価値など有りはしないのに。
そんな事にさえ、気付きもしていなかった。
理想よりも非現実で、夢よりも儚い。
それは、遥か遠い、奇跡のような日々だったのだ。
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